琉球八社巡りで「末吉宮」へ。
他の七社と違うのは、社殿までの参道がハイキング並みに歩くこと。末吉公園内にあり、公園の入口からの標高差は約50m。15~20階建てのビル相当。
拝殿は山頂付近にあり、手前から見上げた姿が絵になります。
今回は、末吉宮へのアクセス、参拝ルート、駐車場、御朱印情報などを紹介していきます。
必須アイテムは歩きやすい靴と虫よけスプレー。緑に囲まれた自然の中を散策します。
琉球八社
琉球王国(1429~1879年)時代に、王府から特別の扱いを受けた8つの神社の総称。波上宮・沖宮・識名宮・普天間宮・末吉宮・安里八幡宮・天久宮・金武宮からなり、真言宗寺院と併置されている。首座は波上宮。祭神(さいじん)は、安里八幡宮が八幡神、ほかの7社は熊野権現。
末吉宮の基本情報
末吉宮 すえよしぐう | |
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入場料 | 無料 |
御朱印 | 波上宮で拝受 1/1~1/3と11/23は末吉宮の社務所でも可 |
参拝時間 | 公園の開園時間9:00-21:00 社務所1/1~1/3、11/23 ※時間不明 |
定休日 | なし |
住所 | 末吉公園 那覇市首里末吉町1丁目8 |
電話番号 | 管轄は波上宮社務所 098-868-3697 |
公式HP | jinjacho.naminouegu.jp |
駐車場 | 無料 正面 約30台 (9:00-21:00) 西側 約10台 (9:00-17:00) 東側 約15台 (9:00-21:00) |
所要時間 | 移動込みで約60~90分 ※末吉宮の参拝のみ |
祭神 | 伊弉冉尊 いざなみのみこと 速玉男命 はやたまのおのみこと 事解男命 ことさかのおのみこと 別鎮祭 土祖神 つちみおやかみ 澳津彦命 おくつひこのみこと 澳津姫命 おくつひめのみこと 産土神 うぶすなのかみ |
ご利益 | 子宝・安産守護・恋愛成就・夫婦円満・子孫繁栄・社運隆昌・成長発展・病気平癒・厄除け・縁結び・悪縁切り・学問 |
別当寺 | 金剛山遍照寺 ※沖縄戦で焼失後に移転 |
ご利益は主祭神のもの
由緒
琉球王国の第6代国王尚泰久王の御世、天界寺の前住職であった鶴翁和尚が壮年の頃に倭国で修行していた際、熊野の方に向かって「もし、私が学道の修行を成就したなら、帰国して本意の後、熊野へ参詣致します」と誓って言った。やがて学道修行は成就し、帰国して住持となったことから、誓願を果たすべく尚泰久王に暇請いを願い出たが、王はこれを許さなかった。鶴翁和尚は頻りに暇請いをおこなったが、ある時、夢に人が現れ、「師よ志を遂げたいと欲するなら、是より北山に向かって大きな声で呼びなさい。応ずる所に霊験があるだろう。そこが即ち居所である。私は熊野権現である」と言った。夢より覚め、稀有に思いながらも一峰に到りて声を上げると前の山に響くところがあった。そこを尋ねたところ、崎嶇嶃岩(きくせんがん)としてあたかも霊地、人跡およばざる場所であった。そこに鬼面が一つあり、すなわち霊験であるとこれを拝んだ。このことを王殿に奏したところ、王もまた霊夢を見たことから、この出来事が意味なきことではないだろうと大臣等に詔し、この地に大社を建立した。また、鶴翁和尚がこの場所を歩いたとき1枚の鏡を獲たが、霊光を放つので社殿内陣に蔵した。
引用:ウィキペディア(Wikipedia)
末吉宮の御朱印
末吉宮の社務所が開いているのは、1/1~1/3と11/23(例大祭)の4日間だけのようです。年によって開いている期間が違うようなので、「波上宮で拝受する」ということでいいと思います。
初穂料は300円です。
書き置きで、日付だけ書いていただきました。
末吉宮の参拝ルート
末吉宮には参拝ルートが複数あります。駐車場やゆいレールの駅を調べる前に、どの参拝ルートを歩くかを決めるとスムーズです。
一般的な参拝ルートは、「公園ルート」と「大名参道ルート」の2つ。(ルート名は仮称)
公園ルートは途中で旧道と迂回路の2つに分かれます。
「末吉宮跡の石碑」が公園ルートの分岐点。旧道か迂回路を選びます。
ここから末吉宮との標高差は約20m。7階建てのビルを登るイメージです。
- 公園ルート+旧道…ややハード
- 公園ルート+迂回路…ウォーキング感覚
- 大名参道ルート…お散歩感覚
あと、こんなイラストも作成してみました。
各地点の標高を調べてまとめた図です。点線が歩行ルートのイメージ。
例えば、公園駐車場からスタートすると、1度谷を下りてから末吉宮まで上ります。儀保駅からは標高差が少なく、歩きやすいのが視覚で分かるかなと。
※地点間の距離は考慮していないので、実際はここまで険しい坂道ではありません。
公園ルート
末吉公園の中を歩くルート。正面の駐車場から末吉宮までの目安は徒歩20~30分。
最初に長い階段があります。行きは下りで帰りは上り。3分くらい階段を下り続けます。長い階段を下りたあと、今度は末吉宮に向かって上へ。
西側駐車場からスタートすれば、最初の長い階段と分岐点までの上りを回避できます。
旧道(石畳)
末吉公園駐車場から旧道を使った拝殿までの道のりは約600m。
石畳の道は平坦ではなく坂道。傾斜がきついところもあり、雨で濡れていると滑ります。油断できない道ですが、風情があります。
迂回路(手すりつき階段)
末吉公園駐車場から迂回路を使った拝殿までの道のりは約750m。
起伏が緩やかで歩きやすいです。最後に待っている階段で足がパンパンになりますが、石畳の道より遙かに安全なルート。
階段の様子はこちらの方の動画が参考になります。正面の駐車場から迂回路を通って、ゴールの末吉宮まで歩いている動画です。
石畳ルート、迂回路それぞれに別の拝所があります。往路と復路で道を変えるのもいいですね。
公園ルートへのアクセス
自動車…末吉公園駐車場・西側駐車場
ゆいレール…市立病院前駅
大名参道ルート
末吉公園の外周を歩き、裏側からアクセスするのが大名参道ルート。大名は「おおな」と読み、町の名前です。(那覇市首里大名町)
末吉宮の裏(大名入口)まで一般道を歩きます。末吉宮の直前で階段の上り下りがありますが、それまでは散歩レベル。標高差が少ないので体力を使いません。
大名入口までの道は緩い上り坂になっていて、いつの間にか山頂にたどり着いています。
入口を越すと階段がありますが、きつくありません。
地図で見るとかなり大回りに見えますが、歩く時間は公園ルートとあまり変わりません。
大名参道ルートへのアクセス
自動車…東側駐車場
ゆいレール…儀保駅
拝殿までの所要時間
東側駐車場から徒歩で15~20分
儀保駅から徒歩で20~30分
大名参道ルートには駐車場がない
大名参道ルートには専用の駐車場がないため、東側駐車場またはゆいレール儀保駅から歩きます。
大名入口前の道路には駐車禁止の標識はありませんが、消火設備、民家の駐車場出入口、交差点、横断歩道があるので、場所によっては駐車違反になるかもしれません。
あちこちに置いてある赤いコーン。掲げられている看板。トラブルが多いのでしょう。
大名参道ルートを利用するなら、東側駐車場または儀保駅から徒歩で行くことをおすすめします。
末吉宮(末吉公園)へのアクセスと駐車場
駐車場
駐車場は3か所。選んだ参拝ルートに近い駐車場を選びます。
正面駐車場
参拝ルート:公園ルート
駐車台数 | 約30台 |
利用時間 | 9:00-21:00 |
料金 | 無料 |
地図 | Googleマップ |
広くて駐めやすいですが、末吉宮に行くまでに1番体力を使います。
西側駐車場
参拝ルート:公園ルート
西側駐車場は分岐点(末吉宮跡の石碑)のすぐ近く。参道をショートカットできます。
駐車台数 | 約10台(線なし) |
利用時間 | 9:00-17:00 |
料金 | 無料 |
地図 | Googleマップ |
末吉宮に1番近い駐車場。正面駐車場から末吉宮に向かう参道ルートの途中にあり、体力を温存できます。駐車場までの道幅が狭めなのと、駐車台数が少ないのがネック。
ここに駐めるなら、駐車場の手前にある、ローカルが認める沖縄そばの名店「しむじょう」にも行きたいところ。
東側駐車場
参拝ルート:大名参道ルート
※公園内を歩いて公園ルートへの合流も可能
駐車台数 | 約20台 |
利用時間 | 9:00-21:00 |
料金 | 無料 |
地図 | Googleマップ |
末吉宮を裏から行くルートに便利な駐車場。末吉公園の観光スポット「滝見橋(画像)」にも近いです。
ゆいレール
ゆいレールの最寄り駅は「市立病院前」と「儀保」。末吉公園の正面入口は、両駅の中間にあります。
公園ルート→市立病院前で下車
大名参道ルート→儀保駅で下車
市立病院前駅は、末吉公園公衆トイレがスタート地点です。
参道ルートとアクセスのまとめ
公園ルート
片道20~30分。最初に長い階段を下りてから上る。途中で旧道と迂回路に分岐する。西側駐車場でショートカットできるけど道幅が狭め。
最寄りは、末吉公園駐車場、西側駐車場、ゆいレール「市立病院前駅」
大名参道ルート
ゆいレール「儀保駅」から徒歩で片道20~30分。公園裏から末吉宮にアクセス。大名参道入口まで一般道で歩きやすい。
最寄りは、末吉公園東側駐車場、ゆいレール「儀保駅」
体力を温存でき、時間を節約できるのは大名参道ルート。
運動しながら風景を楽しみ、拝所も見てまわれるのは公園ルートです。
【行き】儀保駅から大名参道ルートを歩く
今回のレビューは、往路は大名参道ルート、復路は石畳ルートです。
沖縄ではレンタカーばかりだったので、3回目の旅行で初めてゆいレールに乗ってみました。
体力の温存と時間の節約を考えて、選んだルートは大名参道ルート。帰りのルートは決めておらず、そのときの気分次第。
公園ルートは今ごろ長い階段を下りているところ。こちらは緩やかな下り坂です。大名ルートは入口まで階段はありません。
末吉公園の東側駐車場前を通過。この駐車場から滝見橋を見に行くこともできます。
滝見橋はこんなところ↓
東側駐車場のすぐ先に拝所がありました。
「黄金豊饒神」と刻まれています。読み方は「くがにほうじょうしん」?正解が分かりません。
洞穴になっていますが、金網で中は見えませんでした。
豊饒 [ほうじょう] とは、土地に栄養が多く、作物がよく実ること。地の神様を祀っているのでしょうか。
Googleマップを見ると、大名参道の道中にはいくつかの史跡があります。立ち寄ってみましたが、古い井戸が多く、蓋をしてあったり、そもそもの痕跡がなかったりでした。
ところどころ上り坂があります。すでに末吉宮より高いところにいるのだけれども。
沖縄らしい風景はないものの、ほぼ体力を使っていません。闘う相手は暑さだけ。
この分岐さえ間違えなければ、あとは道なり。地図アプリがあればより安心です。
スッと真っすぐ延びる道。このまま歩けば大名参道入口に到着。
この道は平良真地 [てーらまーじ] といって、かつて馬の調教や競馬が行われた場所です。琉球王国時代の二大馬場の一つでした。長さは約300m。かつての道幅(馬場幅?)は15mもあったそうです。
馬の速さを競うのではなく、馬具の華やかさ、乗り手の凛々しさが勝負の対象だったとか。
そんな光景を思い浮かべながら歩くのも楽しいです。平良真地は平良馬追い [てーらんまいー] ともいいます。
詳しい解説は、那覇市歴史博物館のホームページで。
マンションの1階駐車場のすぐ裏にお墓。驚きました。
左側に建つ家の奥には、沖縄独特の巨大なお墓がたくさんあります。末吉宮はもう目と鼻の先なので、古くから信仰されていたのが分かります。
というわけで。
大名参道ルート入口に到着。
写真を撮ったり、少し寄り道したりしながら徒歩で20分弱でした。
大名参道からの末吉宮参拝
大名参道入口から進みます。
鳥居。ここから神域。
そういえば、公園ルートには鳥居がなかったような。
鳥居を越えると、すぐに右と左に道が分かれています。左はハブが出そうな雰囲気だったので、そのまま末吉宮へ。
ちなみに、左側に進むと拝所があります。宇天火ぬ神 [うてんひぬかん] 、子ぬ方軸 [にぬふぁじく] 、黄金軸 [くがにじく] 、さらに進むと最高拝所「宇天軸」があります。
子ぬ方 [にぬふぁ]
「子」は十二支の子 [ね] 。北の方角のこと
末吉宮に向かう道を歩くと、赤い手すり付きの階段があります。
下りる前に周りを見渡すと
拝所あり。
末吉公園内には至るところに拝所があって、巡りだすと迷子になります。
赤い手すりの階段を下りると、
左か右へ。左はアーチ型の石門をくぐる道。右には拝所があり石門を出た後の道に合流します。どちらに進んでも末吉宮に繋がっています。
右側はジャングルのようになっていました。
このときは、右側に進めることを知りませんでした。知っていたら拝所を見に行ったと思います。ハブが出そうで怖いですけど。
というわけで、進路は左へ。
石門。
途中で気づいていたけど工事中。石門と拝殿のセットを撮りたかったけど残念。
石門をくぐらずに左に進むと、公園ルートの迂回路に繋がっています。
沖縄では、グスク(城)で石で作られたアーチ型の門をよく見ますが、
造りが本当に綺麗で、いつも惚れ惚れしています。
石門を出たところは、
普段はフォトスポットです。
左は拝殿に上る石段、右は社務所。まずは拝殿から。
この2段。雨水を流すためか足の踏み場が斜め。気をつけないと下りるときに前のめりになります。
修復工事中の拝殿。賽銭箱が新しくなっています。
参拝は二礼二拍手一礼。
ちなみに、工事前はこんな姿でした。
本宮は拝殿の裏にありますが、見ることはできません。
ズームで撮影。
鮮やかな朱色の中に、ところどころ傷みが見えます。
機材で隠れていますが、扁額 [へんがく] には「社壇 末吉宮 [しゃだん すえよしぐう] 」と書かれています。社壇は土地神を祀る場所という意味です。
古くはなっていますが、染み具合に味があります。今回の工事は社殿の補強かもしれません。
工事で想像していた社殿を見ることはできませんでしたが、
いい景色は見れました。
帰りのルートを決めます。
こうなっているのを知らなかったので、社務所を見てそのまま旧道(石畳)の道で帰ることに。
旧道(石畳)を歩く
社務所。普段は閉まっています。正月の三が日は社務所が開き、ここで御朱印をいただくことができます。
奥にトイレがあります。
整形した石ではないので、足場はゴツゴツ。落ち葉もあり、濡れていると危ない道です。
社務所から少し進んだ右手に拝所がありました。
沖縄らしい風情のある場所もあります。
この下りは晴れている日でも怖い。旧道は行き(上り)で歩く方が楽しめると思います。
石碑が見えてほっとしました。
劇聖玉城朝薫生誕300年記念碑
(碑文より)
玉城朝薫 [たまぐすくちょうくん] は1684年8月2日、首里儀保に生れ1734年1月26日に50歳で没した
玉城間切総地頭 、かつ琉球王府のあまたの要職に行政官として手腕を発揮したが、かたわら、音楽、舞踊、和流の文学に秀で、1719年、尚敬王の冊封にあたって、冊封使歓待のための踊奉行に任じられたとき琉球史上はじめて独自の楽劇・組踊 を創作し、「執心鐘入」「二童敵討」を上演した。他に「銘苅子」「女物狂」「孝行の巻」をあわせて、組踊五番を残し、今日劇聖とよばれる。
沖縄の民族文化の未来のために、その功を顕彰すべく生誕三百年を記念し「執心鐘入」ゆかりの地を朴して、この碑を建てる。
この碑の前の道をそのまま真っすぐ進むと、滝見橋があり、東側の駐車場に抜けられます。滝見橋を見たい人、ゆいレール儀保駅に行きたい人は真っすぐ進みます。
今回は市立病院前駅に行きたいので、右手にある階段を下りました。
末吉公園公衆トイレのある場所。川にかかる橋を渡ると、長い階段を上って駐車場に出ます。
ゆいレール市立病院前駅は、橋を渡らず川沿いの道を歩きます。
「すえよしはし」を渡り、道なりに進むと市立病院前駅に出ます。
最後に
末吉宮の参拝で失敗したなぁと思うのは、事前のリサーチ不足です。大名参道入口から行くと決めて、そのルートを調べただけでした。
拝所はあり過ぎて調べ出すとキリがないですが、最高拝所「宇天軸」は見に行きたかった。あと、赤い手すり付き階段を下りた先にある石門と拝所の分かれ道。拝所だけ見に行けば良かったです。
最後に滝見橋。存在を知っていれば、滝見橋に行く時間もスケジュールに入れたのに。
こんな反省も旅行の醍醐味だし、末吉宮参拝は楽しかったです。
紹介したような場所と道なので、明るい時間に行くことをおすすめします。
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