琉球八社巡りで「識名宮」へ。
洞穴の中に安置されていた賓頭盧像※が、時の国王「尚元王」の長男「尚康伯」の病を治したことから建てられた神社です。
※賓頭盧(びんずる)
釈迦の弟子で十六羅漢の筆頭。撫仏(なでぼとけ)とも呼ばれ、病が治ると信仰されている
琉球八社の中で、もっとも御朱印を手に入れにくく、ドライバー泣かせの神社でした。
今回は、識名宮の駐車場や御朱印情報、境内、正殿の様子を紹介します。
琉球八社
琉球王国(1429~1879年)時代に、王府から特別の扱いを受けた8つの神社の総称。波上宮・沖宮・識名宮・普天間宮・末吉宮・安里八幡宮・天久宮・金武宮からなり、真言宗寺院と併置されている。首座は波上宮。祭神(さいじん)は、安里八幡宮が八幡神、ほかの7社は熊野権現。
識名宮の基本情報
識名宮 しきなぐう | |
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入場料 | 無料 |
御朱印 | あり 初穂料500円 |
参拝時間 | 自由 社務所17:00~17:30頃(不定) ※電話確認を推奨 |
定休日 | なし |
住所 | 沖縄県那覇市繁多川4丁目1-43 |
電話番号 | 098-853-7225 |
公式HP | sikinagu.com |
駐車場 | 2台 |
所要時間 | 約10分 |
祭神 | 伊弉冉尊 いざなみのみこと 速玉男命 はやたまのおのみこと 事解男命 ことさかのおのみこと 午ぬふぁ神 ごぬふぁしん 識名女神 しきなめのかみ |
ご利益 | 子宝・安産守護・恋愛成就・夫婦円満・子孫繁栄・社運隆昌・成長発展・病気平癒・厄除け・縁結び・悪縁切り・学問 |
別当寺 | 姑射山神応寺 ※沖縄戦で廃寺(地図) |
ご利益は主祭神のもの
由緒
昔の識名宮周辺は荒野で、人は住んでいませんでした。にも関わらず、この地からは毎晩のように天に向かって謎の光が出ています。
ある夜、近くの村に住む大阿母志良礼※がこの光を見に行くと、そこに洞穴を見つけました。中には一体の安置された賓頭盧像。「光はこの賓頭盧の霊光に違いない」と信じ、深く信仰するようになりました。すると、次々に願いが叶えられていきます。その話を他の人たちも知り、次第に信仰する人が増えていきました。
当時の国を治めていたのは尚元王。その長男である尚康伯は病気を患っていました。大阿母志良礼が賓頭盧の霊験のすごさを尚康伯に申し立てると、尚康伯は病気平癒の祈願をこめさせます。すると、日に日に病から回復し、すっかり元気な姿に戻りました。霊験に感謝した尚康伯は、この地にお宮とお寺を創建します。大阿母志良礼は側に住み、お宮とお寺の管理をしながら国家安泰を祈り続けました。
後に大阿母志良礼にも住居が与えられたそうです。
※他にも伝承あり
※大阿母志良礼(おおあむしられ・うふあんしたり)
高級神女(しんにょ・女神官)のこと
識名宮へのアクセスと駐車場情報
識名宮の駐車場は2台。台数の少なさだけでなく、近隣にコインパーキングがないのがドライバーにとってつらいところです。
車ごと鳥居をくぐって参道に突っ込む地元の方々もおられるようですが、旅行者がレンタカーですることではありません。
車で行く場合の手段
- 16時過ぎに到着するように行く
- 識名園とセットで観光(識名園から徒歩10分)
※識名園の閉園時間に注意
1.早く到着する
駐車場に到着したのは16時。すんなりと駐車できました。
あとで紹介しますが、社務所が開く17時前後は、御朱印を集めている他の参拝者で駐車場が埋まる場合があります。実際に17時には駐車待ちの車が1台ありました。遅くとも16:30までに到着する計画をたてるといいと思います。
2.識名園とセットで観光
識名園の無料駐車場は広く、識名宮までは歩いて10分ほど。営業時間と休園日に注意。
識名園 | |
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営業時間 | (4/1~9/30) 9:00-18:00 入場締切17:30 (10/1~3/31) 9:00-17:30 入場締切17:00 |
定休日 | 毎週水曜日 休園日が休日又は慰霊の日(6月23日)のときは、その翌日 |
住所 | (駐車場)那覇市真地421-6 地図 |
電話番号 | 098-855-5936 |
路線バス
識名園の目の前に「繁多川(はんたがわ)」というバス停がありました。那覇バスの「5番 識名牧志線」か「14番 牧志開南循環線」が停車します。
「その他のオプション」でMAPを拡大。公共交通機関(電車のようなマーク)を選択後、出発地をタップ。
識名宮の駐車場情報
識名宮の駐車場は、車載ナビやGoogleマップでは表示されません。「ざっくばらん」という喫茶店を目的地にし、その横の道に入ります。
識名宮を目的地にすると、永遠に駐車場にたどり着けません
ざっくばらん横の道路は、道幅が狭めで、車がよく通るのでゆっくりと。
30mほど走ると、右側にミラーと白い家が見えます。ミラーと家の間の道へ。
直角で道幅が狭いえぐいコーナー。慎重に。
先の開けている場所が駐車場。駐車できるスペースは右側にあります。
駐車できるのはNo21とNo22ですが、番号が消えかかっていてほとんど見えません。
また、21番と22番に車が駐まっていると、案内板自体も見えなくなります。あらかじめ場所を覚えておけば安心です。見えない時点で駐車はできないですが。
駐車場から直接中に入れます。
ここから入ると、正殿が左側で手水舎が右側となります。また、道路側にも鳥居があるので、順番にくぐりたいなら、駐車場から車で走ってきた道を歩いて戻りましょう。
識名宮の御朱印・社務所・トイレ
御朱印※ハードル高め
御朱印は書き置きで、日付だけ書いていただくタイプです。
初穂料は500円。
識名宮の御朱印は、琉球八社の中でもっともハードルが高い。
というのは、社務所が17:00~17:30頃の間しか開いておらず、この時間に合わせて参詣(さんけい)しないといけないからです。(18:00頃まで開いていることもあるそう)
波上宮でも拝受できず、識名宮の御朱印手に入れるにはこの時間帯にいないといけません。
電話で当日の予定を確認する人もいるそうです。
社務所
16:11の社務所の様子。開いているように見えて、鍵は全部閉まっていました。つまり不在。
前情報では、17:00~17:30頃に社務所が開くとのことでしたが、16:40頃に再度訪ねてみると、
窓が開いてました。
何時ごろに開くかは、神主さんの当日の都合次第だと思います。
声を掛けてもすぐにはいらっしゃらなかったので、まだ準備中だったのかも。
気さくで話しやすい方だったので、いろいろお話すればよかったです。
トイレ
トイレは駐車場の側にありました。男女共用だったと思います。
識名宮を参拝
前の道路はなだらかな坂道。いい感じに街に溶け込んでます。
神額(しんがく)は左から右の横書き。比較的新しいようです。鳥居も戦災の被害を受けたのかもしれません。
参道の右手側、社務所の向かいに手水舎(てみずや)があります。鮮やかな朱色で、神社らしさ満載です。
正殿に入る鳥居の手前には、琉球石灰岩で築かれた見事な石垣。
フクギでできた緑のトンネルも見どころの一つです。
個人的にお気に入りなのがここ。時間帯にもよりますが、正殿がパッと明るく見えます。未来は明るい。
鳥居の間から見える正殿。絵になります。
正殿の前には狛犬。
玉城村(たまぐすくそん)の親子が1970年に奉納した狛犬。
神社によっていろいろな狛犬がいますが、かなりレアな様相です。左右で同じものを抱えているのも珍しい。独自の進化を遂げているようです。
沖縄らしい朱色の瓦。
戦災で焼失したため、1968年に復興されたそうです。
参拝作法は二礼二拍手一礼。
拝殿から左に向かう通路があります。この通路は正殿の裏に行くための通路です。ぜひ行ってみてください。
本殿の裏にある洞窟
通路は正殿の裏へと続き、その先にはシキナグゥヌガマ(識名宮洞窟)があります。
残念ながら鍵がかかっていて入れませんでした。毎月1日と15日は中を見ることができるそうです。
おそらく、由緒に出てくる賓頭盧(びんずる)は、この洞窟から見つかったと思われます。中には拝所があり、賓頭盧像が祀られています。
もともとの識名宮は、この洞窟内に社殿があったそうですが、洞窟内はひどい湿気のため社殿が腐りやすく、修復し続けないといけません。そこで、1680年に社殿が屋外に移設されました。
鍵が掛かっていても、外から手を合わせて参拝しましょう。
由緒を調べていなかったので、参拝せず帰ってきてしまいました
あと、洞窟の上にあるガジュマルもぜひ見ておいてください。
最後に
また識名宮に行く機会があるなら、1日か15日に行ってみたいです。洞窟は識名宮の起源そのもの。さすがに中の賓頭盧像は新しく創られたものでしょうが、やっぱり中も見たいです。
正殿の近くに「識名宮復興の碑」がありました。この先、何百年、何千年と識名宮がここにあり続けることを願うばかりです。
参拝日:2022年10月24日
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