琉球八社「波上宮 [なみのうえぐう] 」へ。
那覇空港に近く、到着後や最終日の観光に便利な立地。境内はコンパクトにまとまっていて、参拝だけなら少しの時間があれば十分です。でもそれだけでは済まないのですが…。
今回は波上宮の旅行記です。基本情報から駐車場や御朱印情報、境内の様子、「波の上っぽい」写真が撮れるフォトスポットなどを紹介します。
琉球八社
琉球王国(1429~1879年)時代に、王府から特別の扱いを受けた8つの神社の総称。波上宮・沖宮・識名宮・普天間宮・末吉宮・安里八幡宮・天久宮・金武宮からなり、真言宗寺院と併置されている。首座は波上宮。祭神(さいじん)は、安里八幡宮が八幡神、ほかの7社は熊野権現。
波上宮では、末吉宮、安里八幡宮、天久宮の御朱印をいただけます。御朱印を集めるなら、これらの神社の参拝後に行くのがおすすめ。
波上宮の基本情報
琉球八社の最上位に位置する波上宮は、沖縄の総鎮守として信仰を集め、沖縄県神社庁の事務所も置かれています。
波上宮 なみのうえぐう | |
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入場料 | 無料 |
御朱印 | あり 初穂料300円 |
参拝時間 | 自由 社務所 9:00-17:00 (1/1~1/3 7:00-20:00) |
定休日 | なし |
住所 | 沖縄県那覇市若狭1-25-11 |
電話番号 FAX | 098-868-3697 098-868-4219 |
公式HP | naminouegu.jp |
駐車場 | 約20台(無料) 近くに有料駐車場あり |
所要時間 | 参拝のみ15~30分 散策や対馬丸記念館を入れると90~120分 |
祭神 | 伊弉冉尊 いざなみのみこと 速玉男命 はやたまのおのみこと 事解男命 ことさかのおのみこと (相殿神) 火神 ひぬかん 産土神 うぶすなのかみ 少彦名神 すくなひこなのかみ |
ご利益 | 恋愛成就、縁結び、夫婦円満、子宝、安産守護、家内安全、子孫繁栄、社運隆昌、成長発展、病気平癒、厄除け、悪縁切り、学問、航海安全・大漁祈願、工事安全ほか |
別当寺 | 護国寺(ウェブサイト) |
ご利益は主祭神のもの
道路の建設や周囲の埋め立てによって、波の上というよりは崖の上(丘の上)に映る波上宮ですが、創建当時は海にせり出した崖の先端にあったようです。1919年当時の地形でも、「波上」にふさわしい場所にあったことが分かります。
由緒・歴史
当宮は古く沖縄独特のニライカナイ信仰(海の彼方より幸福を持ち来る神々に祈る)に始まる。
その後、この聖地に神のお告げにより王府が熊野三神を祀り、以来朝野の尊崇極めて篤く「端城 はなぐすく」または「なんみんさん」などと称され親しまれてきた。
社殿の創建は不詳ながら、史記『琉球国由来記』に薩摩の頼重上人が波上宮の別当寺として波上山護国寺を開山(1368年)し、ここ宮寺を王の祈願所としたとみえ創建時が伺われる。
また大永二年(1522年)、寛永十年(1633年)、 享和三年(1803年)などには天災・火災などによる造営や再建の様子が史籍に散見せられる。
明治二三年(1890年)、官幣小社に列格し豪壮な社殿を誇ったが先の大戦の戦火で灰燼に帰した。昭和二八年(1953年)、ハワイの人々の赤誠により本殿再建がなされた。昭和三六年(1961年)には拝殿が県内外の奉賛により再興され、平成五年(1993年)に戦後50年にして全社殿の本格的御復興がなされた。
幾度となく被災・焼失しても、最後には復活する姿は首里城と通ずるところがあります。波上宮は恋愛成就のご利益で有名ですが、由緒を見ると、成長や心が折れているときなど「七転び八起き」の祈願にも良さそうです。
アクセス
【車】
空港⇔波上宮駐車場(15分)
空港⇔若狭海浜公園駐車場(15分)+徒歩5分
波上宮の駐車場
波上宮駐車場は、波上宮参拝専用です。
ビーチや旭ヶ丘公園、対馬丸記念館など別の場所も観光する際は、車を移動しないといけません。
【無料】二の鳥居前
波上宮の駐車場を利用する場合、便利なのは「二の鳥居」前。拝殿まで歩いて1分もかからない場所にあります。
参集殿の下にも6台分駐車スペース(軽・小型車専用)があります。
参集殿内の駐車場はバックで入庫します。
【無料】一の鳥居と二の鳥居の間
一の鳥居を過ぎたすぐのところに5台分あります。手前2台は軽専用で縦列駐車です。
二の鳥居前が埋まっているときに利用します。
【有料・安い】若狭海浜公園駐車場
波の上ビーチ、旭ヶ丘公園散策、対馬丸記念館など、波上宮以外にも行きたいときに便利な有料駐車場です。拝殿までは徒歩5分程度。広くて駐めやすいので、いそぽん家はここを利用しています。
徒歩 | 5分 |
料金 | 最初の30分無料 30分~60分200円 以後1時間100円加算 |
最大料金 | 24時間500円 |
台数 | 110台+身障者用3台 |
住所 | 沖縄県那覇市若狭1丁目26 |
波上宮を参拝
波上宮は「一の宮」(沖縄の神社で最も社格が高いこと)に認定されています。格に恥じない立派な鳥居と扁額でした。沖縄らしく、中国の面影も合わさっています。
二の鳥居も威風堂々。ずっしりと重みがあります。
2021年に訪れたときは社殿の全面塗装工事の真っ最中でした。いまは周りの景色に溶け込みながらも、朱色がよく映える姿に生まれ変わっています。
龍の作りが細かくて鋭い。この角度の写真はよだれを垂らしているみたいで失敗。
コロナ禍で柄杓はなし。このタイプの作法は、「①両手を洗う②口をすすぐ③両手を洗う」です。
参拝作法は二拝二拍手一拝です。
視線を上にずらすと立派な扁額。
この奥には十二支に囲まれた由緒書きがあります。
1つ1つが細かく丁寧です。小さくマグネットにして欲しいくらい。
さらに視線を横にずらすと、幻獣「獏 [ばく] 」と神獣「龍」がいました。
獏は悪夢を食べて良夢に変えてくれることから、魔除けにもなるそうです。
狛シーサー。正面から目を合わせると怖い。
でも。
屋根のシーサーはかわいいです。
【仮宮】世持神社と浮島神社
拝殿に向かって左側に2つ小さな祠 [ほこら] がありました。世持神社と浮島神社の仮宮です。ご神体も置かれています。
世持神社
世持神社仮宮由緒(案内板写し)
沖縄を救い繁栄をもたらした三恩人を沖縄救祖と仰ぎ昭和十二年に祀る(創建)
以来世直しと殖産振興の神社として広く崇敬さる
沖縄に農林水産業の発展と繁栄をもたらした3人を祀った神社です。もともとは奥武山公園内に社殿がありましたが、沖縄戦で破壊されてしまいました。なくなる前にご神体を移してあったので、波上宮で祀っています。奥武山公園の社殿は再建され、沖宮が管理していますが、ご神体は移されていないようです。
(画像:奥武山公園の世持神社)
浮島神社
浮島神社仮宮由緒(案内板写し)
宝徳三年、尚金福王時代、国相懐機が長虹堤の築堤に当たり二夜三昼祈願し、神助により完成。天照大神に奉じて長寿宮と奉称。朝野の尊崇あつむ
※宝徳三年…1451年
※長虹堤 [ちょうこうてい]…那覇が浮島だった頃、首里と那覇を結ぶために作られた浮道。海中道路。
長虹堤は、海が深く大波が押し寄せる場所での工事でした。懐機 [かいき] は人の力だけでは不可能と悟ります。神に祈願すること3日間。すると、海水が涸れ海底が現れたそうです。おかげで長虹堤は無事完成。この御恩に報いるため天照大御神を祀ったのが始まりです。
※長虹堤は実際にあった道路です
創建当初の名称は長寿宮でしたが、1942年に浮島神社に改称。しかし、1944年に沖縄戦で炎上。1965年に場所を天久に移し再建するも、借地問題で立ち退きを迫られます。ご神体だけ波上宮の仮宮に遷座し、今に至ります。
参考:「沖縄県神社庁」「沖縄拝所巡礼・ときどき寄り道」
天久の跡地はGoogleマップで見つかります。
※地図が表示されない場合は、「天久 中臣幸乙女王御神」と入力してみてください
波上宮の御朱印
御朱印、お守り、御札はこちらの社務所で。おみくじは100円です。
初穂料300円。
波上宮では琉球八社の末吉宮、安里八幡宮、天久宮の御朱印もいただけます。
初穂料各300円
天久宮は社務所が開いていれば現地でいただけます。
御朱印は参拝の証明書のようなもの。参拝してからいただきましょう
沖縄専用に御朱印帳も買いました。
初穂料1200円
御朱印込み1500円
波上宮本殿が見えるフォトスポット
波上宮の境内からは、波の上っぽさを感じられません。個人的にいいと思ったフォトスポットを紹介します。
波の上ビーチ東側(若狭側)
神明造の本殿がちらりと見えます。
ビーチの端まで行くとまあまあいい感じになります。時間がないときにおすすめのスポットです。
波の上ビーチ西側(辻側)
一の鳥居を出て波上宮沿いに歩くと、波の上ビーチの西側に出ます。10分くらいあれば、行って戻ってこれます。
臨港道路港湾1号線
30分くらい時間をとれるなら、波上宮の海側を走る臨港道路港湾1号線がおすすめ。歩道もあります。
《徒歩ルート》
❶も❷も時間に大差はないですが、おすすめは❶です。波の上ビーチ西側(辻側)にも寄れます。
《ドライブルート》
車から見るなら、臨海道路港湾1号線を若狭ICから西に向かって(2から1に向かって)走るのがおすすめです。
護国寺と波の上ビーチへ
波上宮を参拝し、御朱印も拝受。せっかくなので、すぐ近くにある護国寺を参拝し、波の上ビーチをふらふら散歩しました。
護国寺
波上宮一の鳥居のすぐ横にあります。
創建は1368年。沖縄に現存する寺院で最も古く、波上宮の別当寺でした。沖縄戦で砲撃が直撃したため、仏像や建物などすべて焼失。今の建物は戦後に復興されたものです。歴代の琉球国王が即位の際に参詣した由緒正しいお寺です。
その場で書いていただいた御朱印。迫力がすごい。お気に入りの1枚です。志納料は300円か500円だったと思いますが忘れました。
護国寺 ごこくじ | |
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御朱印 | あり 志納料 忘れた |
参拝時間 | 7:00-18:00 寺務所 9:00-18:00 |
定休日 | なし |
住所 | 沖縄県那覇市若狭1-25-5 波上宮一の鳥居横 |
電話番号 FAX | 098-868-1469 098-868-1240 |
公式HP | w1.nirai.ne.jp |
毎月・第1日曜日と第3日曜日の15:30~16:30は、信徒集会日のため本堂正面(ご本尊側)での一般参拝ができません。
無料駐車場(15台くらい)がありますが、護国寺参拝時のみ利用可能です。
波の上ビーチ
那覇市で唯一のビーチ。遊泳エリアは狭いですが、期間内はクラゲ防止ネットやライフセーバーなどの安全対策が施されています。
イメージする海の景色ではないものの、透明感はまさに沖縄の海。本気の海水浴には物足りないですが、プールに行くつもりで海水浴、散歩のついでに海水浴、そんなビーチです。
遊泳期間 | 4~6月 9:00-18:00 7~8月 9:00-19:00 9月~10月 9:00-18:00 |
料金 | シャワー 100円(常温5分) コインロッカー大 300円 コインロッカー小 200円 |
施設設備 | 更衣室、シャワー、トイレ、コインロッカー、売店、クラゲ避けネット、ライフガード、管理事務所 |
駐車場 | 若狭海浜公園駐車場 110台+身障者用3台 |
ビーチ沿いのベンチには灰皿がありました。
10月下旬でも海水浴OK。
11月~3月は遊泳期間外です。
波上宮が建っている琉球石灰岩の崖へ。
真下にくると、社殿はまったく見えません。
この崖のことを調べてみたら、かなりの歴史の持ち主でした。この崖は沖縄貝塚後期(弥生時代~平安時代 紀元前3世紀~8世紀頃)まで墓所として使われていて、「波上洞穴遺跡」と呼ぶそうです。(那覇市観光資源データベースより)
洞穴というくらいなので、崖の中腹に開いた穴をよく見てみると、
なんでよ…。
「むやみに入るとこうなるよ」という誰かからのサインなのかもしれません。
※今は置いて無いと思います
また、崖からは14~16世紀の遺跡も見つかっています。波上宮が建立されたと考えられているのは14世紀。紀元前から14世紀までずっと祭儀が受け継がれてきたということ。崖の下には拝所もあります。
波上宮が建つはるか前、まだ文字文化がなかった時代から、先人はこの崖に何かを感じていたのでしょう。
塞がれた穴もありました。深い穴だったのが砂で埋まったそうです。事故があったのか完全に閉じられていました。
そんな話を知ってから見ると、また違う波上宮が見えてきます。
他にも、対馬丸記念館を見学し、旭ヶ丘公園を散歩しました。それはまた別で記事を書く予定です。
最後に「波上宮まとめ」
琉球八社はそれぞれ独特の顔を持っていますが、波上宮は神社でイメージする姿どおりでした。でも、沖縄でしか出せない色、仏教との調和が現れていて既視感はありません。
鳥居の間にある坂道の縦列駐車はちょっと驚きましたが、コンパクトで参拝しやすいのは良かったです。空港に近く、沖宮と同様にスケジュールに組み込みやすいのも強み。夏は参拝してからひと泳ぎするのも楽しそうです。
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