垣花樋川[かきのはなひーじゃー] へ。
平日の午前11時頃。
静寂の中から聞こえてくる心地いい水の音。自然の恵みを存分に含んだ湧水は、植物を青々と育んでいます。
垣花樋川は癒しのスポットでした。
厳しかったのは駐車場。
辺り一帯の道幅が狭くドキドキしました。
今回は、垣花樋川の旅行記。駐車場情報もお伝えします。
垣花樋川の由来
垣花樋川 (俗称シチャンカー)
天然の美しい川や泉を保全して後生に伝えるという目的で推薦され、 昭和60年に環境庁の全国名水百選に選ばれた。 百選の中でも最初は全国で31件が選ばれこれに入選した。垣花樋川は集落の南側にあって、石畳の急な坂道[カービラ] を100メートル ほど降りていくと、左側のうっそうと繁った林の中腹岩根から湧水が湧き出ている。
かつては左側上のイナグンカー(女の川) は女が使い、右側下のイキガンカー (男の川)は男が使っていた。その下流の浅い水たまりはンマミシガー (馬浴川)、 全体をまとめてシチャンカー (下の川) と呼ばれ、樋川から流れた水は下の田をうるおし、稲作が盛んであった。垣花村の人々はシチャンカーで水浴び、洗濯、野菜洗い、水汲みをするためカービラ (川の坂) を行き来した。石畳道の途中には女たちが一息入れたナカユクイイシ (中休み石)、イーユクイイシヌヒライサー (上休み石の平石)が残っている。
現在は、簡易水道として地域の飲料水等の生活用水や農業用水として利用されている。
平成18年1月 南城市玉城字垣花
場所は沖縄本島南部、那覇から南西に位置する玉城村垣花[たまぐすくそん かきのはな] 。現在の南城市玉城垣花です。
北東から南西に伸びる標高約150mの台地の中、垣花地区から出る湧水のことを垣花樋川[かきのはなひーじゃー] と呼びます。
樋川[ひーじゃー] のひーは樋[とい] 、じゃーは井戸のこと。樋を通して湧き水を引っ張ってくるのが樋川です。
川は当て字で、昔の沖縄では川は『かー』または『かーら』と呼んでいました
地上に湧き出した水は、石造りの樋に導かれて流れてきます。
ちなみに、ヤギの呼び方もヒ―ジャーです
かつて、垣花集落の女性はこの水を汲むために、傾斜のきつい石畳の道を水桶を担いで行き来していたそうです。
坂の途中には休憩するための石が2つあり、現在も残っています。
施設情報
垣花樋川基本情報 | |
---|---|
定休日 | なし |
入場料金 | 無料 |
営業時間 | 24時間 ※暗い時間に行くところではありません |
トイレ | なし |
駐車場 | 無料 石畳側:2~3台 遊歩道側:5~6台 |
住所 | 〒901-0601 沖縄県南城市玉城垣花182 |
電話番号 | なし |
公式HP | なし |
持ち物 | 歩きやすい靴 虫よけスプレー タオル等 |
垣花樋川アクセスと駐車場
垣花樋川[かきのはなひーじゃー] へのアクセスは3通りあります。
- 石畳ルート
石畳でできた150mほどの急な坂道。濡れていると危ない。昔からの風景が残る。 - 遊歩道ルート
歩きやすい。駐車場直前の道が狭い。 - 国道ルート
足場が悪く歩きにくい。
駐車場があるのは石畳ルートと遊歩道ルート。国道ルートはバスからのアクセスになります。
- 石畳ルート
-
昔の風情が残る情緒ある道。傾斜がきつい坂なので、濡れているときは避ける方が無難。駐車場はすぐ近くに2~3台分と、少し離れたところにもあるため満車の心配はありません。
- 遊歩道ルート
-
舗装はされていませんが歩きやすい道。駐車場は入口の1か所だけで5~6台分。駐車場手前の道幅はかなり狭いです。
ここに来る前に行った知念城跡と知念按司の墓で筋肉も神経もパンパンに張りつめていたので、いそぽん家は遊歩道ルートを選びました。
駐車場で悩む人が多いと思うので、もう少し詳しく紹介します。
駐車場
石畳ルート駐車場
この周辺の道幅はこれくらいです。
徐行しながら譲り合えば、対向車が来てもすれ違いできます。
石畳に近い駐車場①
石畳ルートの駐車場は2台分。きっちり詰めてギリギリ3台。
石畳に近い駐車場②
10台くらい駐められます。
看板はないですが、南城市の職員さんが教えて下さいました。
石畳に近い駐車場③
垣花公民館(垣花構造改善センター)の隣りにある駐車場も利用していいそうです。
ここはこの記事を書いているときに知りました。
南城市に確認をとったら、丁寧に教えてくださいました
遊歩道ルート駐車場
遊歩道ルートにある駐車場は、直前の道幅が特に狭くて、すれ違いできない場所もあります。ドキドキしました。
仲村渠農村公園[なかんだかり のうそん こうえん] を過ぎたところ。道幅が狭く、左側には側溝があります。
ここで対向車が来てもすれ違えません。
雑草が伸びていて、側溝は続いているのか、埋まっているのか見分けがつきません。対向車が来ないことを祈りながら徐行しました。
徐行しながら約2分で到着。
遊歩道ルートの駐車場は5~6台分あります。
垣花樋川近くのバス停
石畳ルート『垣花』MAP
徒歩約8分
遊歩道ルート『仲村渠[なかんだかり]』 MAP
徒歩約10分
国道ルート『下田』MAP
約190m 悪路あり
垣花樋川へ
遊歩道ルートから垣花樋川へ。
舗装していない地面はデコボコしていますが、普通に歩けます。
左側は雑草がボーボー。
コロナ禍で整備に手が回っていないだけかもしれませんが、この圧迫感がいい前振りになっています。
澄んだ水の中にクレソンが自生していました。
濁って見えるのは底にある土。透きとおり過ぎなくらいに水は澄んでいます。
少しうす暗いこの道を抜けると、
目の前がぱっ!と開けます。
この瞬間がすごく気持ち良かった。
田舎の風景といえばそうだし、庭園のようにも見える…。
個人的には、大きな箱庭という表現がしっくりきます。どこかに可愛さを感じるからかもしれません。
自然のまま無秩序な場所と、きっちり手入れされている場所のバランスが絶妙。
地元の人たちが整備をしているそうです。
小さな滝を滑り落ちる水の音もまた癒し。
苔映えする季節は、古代遺跡のような様相になることも。
磨き上げたガラスのような水面。映る景色も鮮明です。
少し上がったところから見た景色。
池のようになっている場所は、馬の水場(ンマミシガー)として利用されていたそうです。
現代は中に入って遊ぶ子供たちや、涼を求めるオトナの水場となっています。
スコップで掘れるほどの細い水路。人間に例えると血管と血液のようです。
足元には小さな小さな川。
ここにはまってテンション落としている人もいました
さらに奥に進むと…
イキガンカー(男の川)
『イキガンカー(男の川)』。
右奥には拝所があります。
大きな川がない沖縄では、湧き水はまさに生命の源でした。拝所があるのは自然な流れ。
林の奥で湧き出た水は、樋に導かれてここに流れ込みます。
当時は生きるために汲まれていた水。現在も自然の水を求める人が汲みに来るそうです。
※飲むのは自己責任
暑い日にこの水に打たれたい。
きれいな水が湧き出る場所の植物は瑞々しく色鮮やかです。知念城跡のウファカルも同じでした。
水面をとおして見える砂。何もないかのような透明度です。
源流がどうなっているかのぞき込んでいます。
源流が見えないことに気づくまで1分以上かかりました。
看板のあるところに戻ります。
石畳ルートです。
傾斜が急で石がゴツゴツしているので、膝に不安がある人は遊歩道ルートをおすすめします。
ここで見落としがちなのが、画像の上の方にある小屋のような場所。あの小屋の奥にイナグンカー(女の川)があります。
見落としがちなイナグンカー(女の川)
石畳を5、6段上ると、右に逸れる通路があります。
手前に水を垣花地区に送るポンプ小屋があり、その奥にイナグンカーがあります。
下から見えにくい場所で、女性の水場として使われていたようです。
元気があれば、石畳を上って昔を感じるのもいいかもしれませんね。
垣花樋川まとめ
実は、名水100選にそれほど興味があったわけではありません。
干潮時のヤハラヅカサに合わせて、近くで時間調整できそうな場所が垣花樋川でした。
でも、遊歩道から突然現れたあの景色はよかった。すごくよかった。
薄暗い道からパッと明るい世界が広がり、目に飛び込んできた大きな箱庭は感動ものでした。
それと、水の音。
子どもが元気にはしゃぐ声もいいかもしれませんが、静寂の中にただ水の音が響く空間は癒しそのものです。
駐車場周辺の道幅は難ありですが、そのおかげもあってか、メジャーなスポットにはならず、地元民の憩いの場として残っています。
帰りも対向車が来ませんように。
いそぽん(@isopon11)でした。
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